R.U.


自分が生まれる 何十年 何百年も前の服や靴に 心惹かれる

 とりわけ 古く朽ちかけた靴が たまらなく愛おしい

 長い年月を経て 手触りは変わり

ところどころ朽ち果て もろくなったそれは

流行りのデザインからは程遠くとも

とても美しく 愛おしく思えた


陽の光にさらされ 色あせたリボン  陽に焼け 黄変した革

その古色蒼然たる美しさの中に 工夫を凝らし

人の手でうみだした証を見つけ 心が震える


古いモノクローム写真の中に

博物館の展示室のガラスケースの中に

美術や服飾など 様々な史料の中に


気がつけば探してしまう

きらびやかな装飾品として愛された一足を

生活の道具として酷使された一足を


貴族の装いに華を添え

ある時は労働者の足元で発展を支える

おさがりを履いた子供たちが野山を駆け回り

時には 擦り切れるほど履いた 気に入りの一足を

何度もなおし 母から娘へと 朽ちるまで使い継ぐ


古く朽ちかけた靴の背景に 想いを馳せ

そんな美しい物語に夢中になった



手に入らぬ その美しいものを

手に入らぬからこそ つくりたかった

自らの手を動かし 自分の手の中から

その美しいものを 生み出したい

 


カタチのない想いを抱えた 若輩なわたしたちが

R.U.として駆け出し 20年以上がたった



今なお その美しいものに 恋焦がれている

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